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昨年末公開なんですね、これ。そんな前か。 連休、旅行に行った先で、DVDにて鑑賞しました。 もう公開終ってる映画ですので内容についてはこちらを見ていただくとして。 映画って時折、その本筋やらテーマとかとは違うところで妙に印象に残っちゃったりすること、ありませんか。 俺にとってはこの「アイ・アム・レジェンド」はそんな感じです。 映画自体の評価としてはそんなに高いもんじゃないと思うんですが。 この映画の前半は、ウィルス汚染で壊滅したニューヨークでウィル・スミス演じる主人公ロバート・ネヴィルがたった一人で暮らしている様が淡々と、文字通り淡々と描写されるんですが、その恐ろしいまでの寂寥感(いや、観ている側の感覚としてね)が非常にインパクトがありまして。 彼は完全に一人ではなくて、シェパード犬のサムと一緒なんですが、それがもう余計にね、寂しいんですよ。 毎日AMラジオで世界に自分以外の生存者がいないか語りかけながら、人っこ一人いないニューヨークで、野生?になっちゃった鹿とかハンティングしたりするんですが、ひょっとして本当に、本当に世界に(まともな状態で)生き残ったのが自分独りだとしたら。 彼はそんな生活を3年も続けてるんですよ。 ウィルスのワクチンを研究するという目標があるからいいですけど、たった独りで3年ですよ。 LOSTみたいな無人島ならまだしも、人の気配がまだ色濃く残るニューヨークという大都会で。 少しずつ朽ちていく都市の光景の中で。 泣けるエピソードがあって。 彼がレコード店に入っていくと、店内に数体のマネキンが置いてあるんですよ。 レジのとことか、商品の棚の前とか。 で彼は、そのマネキンに語りかけるんです。 レジの中の男のマネキンに「やぁ今日はどうだい?」 棚の前の女性のマネキンに目配せしながら、 後で犬のサムに「明日こそ、彼女に声をかけるんだ」 そうでもしないとどうにかなっちゃいそうな、そんな孤独。 川本三郎じゃないけど「心は寂しいアメリカ人」、そんなキーワードが出てきそうな。 恐らく監督や脚本家は、寧ろこの部分の描写こそやりたかったんじゃないかと思えるほど、それはそれは徹底してるんです。 孤独感の描写が。 それがなんかね、すげぇ心に来たというか。 前にも書きましたが人ってのは、どんなに強がったところで人と人の間で何かしらの影響を受けて、生きてるもので、その他者であるところの人がいない世界だとしたら、そりゃ普通気が触れてしまってもおかしくないというか。 いや、俺なんか寧ろ一人の方がせいせいするね、という人もいるかもしれませんが、実際んとこそういう環境になったら、人のありがたみって感じると思うなぁ。 相手がある、という事。 でこの手の孤独というやつは多分人がいたとしても、その社会にコミットできていなければ、帰属できる場所、居場所がなければ同じように人を苛むと思うんです。 今の世の中って、そんな世の中なんじゃないかと。 街を歩いてると、東京では特に、な気がするんですが、独り虚空に向かってしゃべってる人に出くわします。 それを「電波飛ばしてる」と笑うのは容易いんですが、彼の孤独は、ひょっとしたら我が孤独なのかもしれない、なんてぇことを何となく感じる、秋の日です。
by Gun0826
| 2008-11-04 18:04
| Movie
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