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久々の読書感想、ツイるのにはちょっと長くなりそうなのでここに。 怖い小説だった。 ジム・トンプスンの作品なので一筋縄でいかないのは元より承知の助だったのだが、これは予想の斜め上、本当に斜め上を行ったケースだった。 原題は「The Nothing Man」。邦題も比較的直球に思えるのだがここに様々な意味が込められている。三川基好は「おれの中の殺し屋」なんていう酷い邦訳をつけたから怒ってたんだけど(中公版の「内なる殺人者」が好きだからというのもある)、これはクリンヒット。 解説で中森明夫も書いてる通りプロットは松竹新喜劇、(トンプスン作品の)お馴染みの役柄の人達が同じような展開で出てくるんだけれど、出来上がったお話(っていうのかなこれは)は普通のクライムノヴェルや探偵小説、おそらく当時(1954年)ダイムストアで扇情的な表紙に誘われスケベ心で買ったであろう読者に痛烈な一撃を食らわす、メタ小説のような作品なのだ。 主人公、クリントン・ブラウンは小さな町の新聞社に勤めている。事件が無い事を何よりとするラブレイス社長の命に従い、へつらい、ブラウニー(物語中、多くの人は彼をこう呼ぶ)は詩を書いたりしながら(彼は非常に教養に長け、町の連中は自分よりもみなうすのろだと信じている)単調に日々を過ごしている。 だが彼はアル中だ。というか酒が血管を通っているような男だ。恐らく酒無しでは平常心を保っていられないような男だ。それは彼の戦争体験による。傷痍軍人である。 失くしたのは、もうお気づきの方もいると思うが、男性の能力である。 読み込むと恐らく、男性器そのものが欠損しているようにも読める(隠さなくてはならない、という件)。 そう「失われた男」なのである。 彼は、前線で彼を無謀な突撃任務に曝した上官、「大佐」ことデイブ・ランドル(新聞社の上司。恐らく彼のコネでブラウニーは雇ってもらった)をわざと軍隊言葉で会話してみせ、ネチネチとイビる。 そして酒を飲む。飲む事で彼の頭はクリアになるが、「両方からの力」に引き裂かれそうにもなる。 それは正気と、越境した何者かがいる場所、彼岸である。 ブラウニーは新聞社員だけに町を守る保安官、レム・スチューキーと仲が良い。良いというのは、スチューキーの多大なる努力によるものではあるが。 さて、物語が動き出すのは、ブラウニーの元妻・エレン、あまりオツムがよろしくない、多分容貌もそんなに良くはないだろうこの女が町に舞い戻る事で動き始める。ペイパーバックという出版形態の都合上、勿論美人さんも出てくるが、トンプスンの小説で物語を動かすのは大抵、器量の悪い女だ。 そして「軽蔑(連続)殺人事件」が幕を開ける。 トンプスンの小説の常で、本作も一人称一視点で書かれている。そしてこれも例に漏れず、この語り手は全くと言っていいほど信用がおけない。だからトンプスンを読む時は――今そこに書かれている事がそうであるとは限らない。そして、本作の度合いはトンプスンでも最高難度クラスだと思う。 小説というエンターテイメントを読もうとする者は、そこに娯楽を、カタルシスを求めるのが常道だろう。 最近では「いやミス」というのもあるというし時代も変わったものだと思うが、ジム・トンプスンがしゃかりきになって(食う為に?いや何の為だろう?)ペイパーバックを書き飛ばしていた頃にはそんな意地の悪い読者は居なかった筈だ。そんな時代にあってトンプスンは意図せずに「いやミス」以上の居心地の悪さを最後の最後で提供する。 これは最終章が完全に分裂症患者の文章みたいな「死ぬほどいい女」もそうだし、傑作「残酷な夜」もそうだ。トンプスンは「そういう読者」に向って書いているのではなく、彼が書くと「そうなってしまう」のだ。 この「失われた男」、「The Nothing Man」というタイトルが指すもの。 それが最終章で語られていく。我らがブラウニーは「"男"になれない」。「"男"ですらない」。 「何者でもない透明な存在」。そう「虚無」。 ドラマツルギーとしてカタルシスを得るには例えば相手を打ち倒すとか、主人公がかっこよく死んでみせるとか、そういうアクションが必要だ。それをこの作品はしない。ただ、立ち尽くさせる。 本作はトンプスン作中(俺が読んだ中で)で最も「語り手に残酷な」物語である。 そして読み終えた瞬間にこの一連の「書き物」は読んでいた我々自身に向って静かにその指を指す。 「ここに書かれているのはお前の事だ」と。 「内なる殺人者」のあの偉大なフレーズ「俺たちみんな」の再来である。 自分が他人よりは「まし」だと考え、すぐそばに舗装路があるのにあえて砂利道を行き、上らなくてよい坂を上り、旨そうな獲物は常に誰かにかっさらわれる、そんな人生。 この先も得る物など何もないそんな人生が続いていくという身も蓋もない現実をトンプスンは突きつける。 「ダイムストアのドストエフスキー」と呼ばれる所以である。 恐ろしい本である。 なお、読みながらシネマヴェーラ渋谷の「フィルムノワールの世界2」で50年代の映画を観られたのは読み進めるうえで非常に助けになった。あと「ゴッサム」がイメージのソースにもなった。 こういう出会いもあるのだ。
by Gun0826
| 2017-08-29 20:07
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